「キチン」と「キトサン」は同じ物質ですか?
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「キチン」と「キトサン」は、違う物質です。
イカの軟骨やカニやエビの甲羅から、抽出した『キチン質』から、炭酸カルシウム・タンパク質・色素などを除去した物質が「キチン」です。
さらに、「キチン」を脱アセチル化処理(「キチン」の官能基の『アセチル基』を外す処理)を行い精製した物質が、「キトサン」です。 |
脱アセチル化とは何ですか?
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脱アセチル化とは、ある物質の官能基である『アセチル基』を取り除く処理法の事です。
「キトサン」の精製の際に行われる脱アセチル化処理は、「キチン」の官能基の『アセチル基』を取り除く処理の事を言います。
この処理を行った度合いを「脱アセチル化度」と言い、この処理のパーセンテージが高いほど、純粋な「キトサン」と言えます。
純粋な「キトサン」(脱アセチル化処理のパーセンテージが高い)になればなるほど、色調もほぼ白、限りなく無味無臭といった性質を持っています。
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イカ由来の「キチン」と、カニ・エビ由来の「キチン」は、同じものですか?
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イカ由来の「キチン」と、カニ・エビ由来の「キチン」は、種類が違います。
真イカやスルメイカなどのごく限られたイカの軟骨部分に含まれる「キチン」は、「β(ベータ)型キチン」と言い、カニ・エビや昆虫の甲殻部分や菌類に含まれている「キチン」は、「α(アルファ)型キチン」と言います。
「β(ベータ)型キチン」、「α(アルファ)型キチン」の他に、タコやイカの胃等に含まれている「β(ベータ)型キチン」と「α(アルファ)型キチン」の混ざった「γ(ガンマ)型キチン」があり、「キチン」は全部で3種類あります。 |
「α(アルファ)型キチン」と「β(ベータ)型キチン」の違いは何ですか?
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少し専門的な話になりますが、「キチン」は、分子式で表すと、六角形の亀甲形をした「N−アセチルグルコサミン」という基本分子が、数万個も連結(重合)して構成されています。
この連結(重合)の仕方によって、「α(アルファ)型キチン」と「β(ベータ)型キチン」に分けられます。
「α(アルファ)型キチン」は、隣り合った「N−アセチルグルコサミン」と180度倒錯した形で結合(斜方晶系)しています。
「α(アルファ)型キチン」の分子同士の結合は、しっかりと水素分子によって結合しているので、水に「α(アルファ)型キチン」を浸しても、水分子が入り込めず、膨潤しません。
これにより、「α(アルファ)型キチン」は、非常に安定した物質であると言えます。しかし、反面「α(アルファ)型キチン」は他物質との反応性、活性度、親和性が低い事になります。
「β(ベータ)型キチン」は、隣り合った「N−アセチルグルコサミン」が同じ向きに一直線上に整列して結合(単斜方系)しています。
「β(ベータ)型キチン」の分子同士の結合は、結合する「N−アセチルグルコサミン」のある軸に沿ってのみ水素結合がされています。 したがって、「β(ベータ)型キチン」を水に浸すと、水素結合の無い箇所に、水分子が入り込み膨潤します。
この事からわかる様に、「β(ベータ)型キチン」は、分子としては不安定ですが、不安定な事により、は他物質との反応性、活性度、親和性が高いと考えられます。 |
「キトサン」は体に吸収されますか?
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「キトサン」は分子量が何十万から百万以上の高分子多糖類であり、水には溶けず、酢などの弱酸で溶ける物質です。
つまり、お召し上がりになる事によって、胃酸で溶け、体内に吸収されると考えられています。
また、人体が僅かに持っている「キチナーゼ」や「リゾチーム」のような「キチン質分解酵素」や、食事から摂取する植物に含まれている酵素「キチナーゼ」が「キチン」をオリゴ糖に、「キトサナーゼ」が「キトサン」を「グルコサミン」に分解し、体内に吸収されると考えられています。
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高分子「キチンキトサン」と低分子「キチンキトサン」では、どちらが良いですか?
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高分子とは、一般的に分子量が1万以上の物質の事を言います。
反対に、低分子とは分子量が1万以下の物質の事を言います。
低分子にするには、人工的に分子同士の結合(重合部分)を離さなくてはなりません。
人工的に結合を離すので、「高分子キチンキトサン」が持っている何らかの働きが、「低分子キトサン」にした際に損なわれてしまう事も考えられます。
「キチンキトサン」は、「高分子キチンキトサン」であっても体内にある「キチン質分解酵素」で分解され、体内に吸収されるので、必ずしも「低分子」がである必要はありません。
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